桜島焼・銀彩について
「桜島焼」は桜島の火山灰と温泉水を利用した、桜島でしか作ることのできない桜岳陶芸独自の焼き物です。
桜島焼の特徴の一つとして、「渋い輝きを放つ色彩」があげられます。
鉄分の多い鉱物含有資源を活用し、1250度の高温で焼しめる桜島焼です。すると、他に二つとない光沢のある銀色が炉の中から姿を現わすのです。
私たちはこの輝きを「銀彩(ぎんさい)」と呼んでいます。
桜島焼は一品一品手作りで制作しています。
手作りですの一度に大量の焼き物を作ることはできません。
なにより、同じ窯で焼き上げたとしても、同じ模様の焼きあがり(銀彩)になることは決してありません。
不思議なことにそれぞれの焼き物がそれぞれの銀彩を輝かせ、それぞれの個性を主張してくれます。製作者でさえ、個々の出来上がりのイメージを正確に的中させることは難しいのです。
正に炉の中の炎の舞が生み出した芸術作品。
二つと同じ物が存在しない、オンリーワンの作品が生まれるのです。
渋さの中に自然のエネルギーをしのばせる銀彩は、器を使えば使うほど器の個性がより引き出され、趣が変化して楽しませてくれると評されています。
また、桜島焼の器に焼酎やお茶を入れておくと、鉱物含有イオンの働きにより飲み物の味をソフトに味わい深くしてくれます。
これらの独特な個性に魅かれた方々に、桜島焼は励まされ発展してきました。今では桜島焼のファンは全国に、さらに海外にもいらっしゃいほどになりました。
一つ書き添えておきますが、全ての桜島焼の陶器が「銀彩」として焼かれるわけではありません。
桜島焼では、「釉薬(ゆうやく):器の表面にかける上薬」を常に研究しています。さまざまな自然原料を使い、自然の生み出す色彩を、私たち自身も楽しんでいるのです。
桜島焼は単に観賞用の器としての楽しみ方だけでなく、実際に生活の中で役立つことを願っています。
使われることによって器の個性がより引き出され、何気なしに味わい深さが増すことでしょう。